扈三娘(こさんじょう)

扈家荘の娘で祝彪の許嫁。海棠の花と称される美貌を持ちながら具足を纏い馬を駆る勇猛な女武芸者。その凛とした姿と抜刀の鋭さが聞煥章に予期せぬ感情を呼び起こした。

第7巻「烈火の章」

第5章 地賊の星

家荘の保正の娘であり、祝彪の許婚として独竜岡の森で馬を走らせている際、潜入調査中の聞煥章と偶然出会う。不審な余所者である聞煥章に鮮やかな手際で剣を突きつけ、腕の一本も叩き落とそうとするなど、武芸の腕前とともに凛とした気性を披露する。戦が始まれば家荘の民兵を率い、側面からの掩護だけでなく自らも戦いたいという強い意志を表明する。

第8巻「青龍の章」

第2章 地異の星

祝彪の許嫁として祝家荘を訪れ、馬上から猪と人間の闘いを見物して楽しむ残酷で勝気な一面を見せる。軍師の聞煥章からたしなめられるが、自分も軍に加えて欲しいと主張して聞き入れられず、不機嫌に馬を走らせて去る。

第4章 地悪の星

家荘軍一千を率いて梁山泊軍に側面攻撃を仕掛け、両手の剣を巧みに遣って一騎討ちで梁山泊の騎兵を斬り落とす武勇を見せる。林冲に挑むが、二本の剣を叩き落とされた挙句、岩に叩きつけられて全身五箇所の骨を折る重傷を負い捕らえられる。

第5章 地勇の星

家荘の一族が自害し荘が焼き払われる中、捕虜として生き残り安道全の治療を受けていると呉用から語られる。

第9巻「嵐翠の章」

第1章 天空の星

かつて林冲によって岩に叩きつけられ瀕死の重傷を負うが、安道全の手当てを受けて梁山泊の養生所で一命を取り留めたことが語られる。

第4章 地走の星

怪我が完治すると自ら禁軍の前線に現れ、一騎打ちを求めて大声を張り上げる。晁蓋に対し、一族の死によって不要な婚約から解放されたと語り、正式に梁山泊軍に加わることを志願する。盧俊義救出戦では、艶やかな着物を纏って白馬で駆け、敵の目を引きつける見事な囮の任務を完遂する。

第11巻「天地の章」

第3章 地楽の星

滄州軍との激戦で精鋭騎馬隊を率いて突撃するが落馬して絶体絶命の危機に陥り王英に救われる。軍令違反を犯してまで助けた王英に感謝と反発の入り混じった複雑な感情を抱く。

第4章 天地の星

双頭山での酒宴で韓滔から晁蓋との仲を冷やかされて動揺を見せるが、曾頭市の賊徒討伐では双剣を振るい凛々しい女将として晁蓋の側近を務める。

第12巻「天地の章」

第1章 地健の星

流花寨付近の戦いにおいて、自身の部隊を率いて林冲や馬麟と合流し、官軍を散らす一翼を担った。しかし、晁蓋の死に同行していた責任感から精彩を欠き、林冲によって指揮する兵の数を二百騎に減らされた。

第2章 地傑の星

兵を減らされたことを受け入れつつも、林冲に対し、これまで以上に働くことを誓って出動態勢を整えた。

第14巻「爪牙の章」

第1章 地急の星

林冲の命により自ら二百騎を率いて双頭山へ向かい、徐寧とともに新兵の調練にあたると同時に、董平から北方の警戒任務を引き受ける。鮑旭の独断による判断を信じて宗城へ急行し、高廉の軍に包囲された飛竜軍を窮地から救い出す。自身を庇って負傷した王英の手当てを行い、短い交流の中で彼の不器用な気遣いに触れる。

第15巻「折戟の章」

第1章 天英の星

双頭山の激戦の最中、索超と共に林冲からの召集命令を受け、後事を託して特定の任務のために戦場を離れる。

第2章 地煞の星

北京大名府の占拠戦に参戦し、二振りの剣を振るって城内へ雪崩れこみ、逃亡を図る聞煥章の影武者の首を鮮やかに跳ね飛ばす。

第4章 天損の星

宋江から持ちかけられた王英との結婚を、あたかも一つの作戦任務であるかのように淡々と承知する。初夜においても王英に対し、夫婦の情愛よりも梁山泊の兵としての規律と任務を優先する冷徹な姿勢を示し、独自の夫婦のあり方を規定する。

第6章 地奇の星

王英との初夜を迎え、独竜岡の令嬢として培った結婚観を胸に、盛大な祝宴もなく静かに夫婦としての生活を始める。翌朝には、梁山泊の兵士としての現実的な取り決めを淡々と交わし、戦場に生きる者同士の峻烈な絆を確かめ合う。

第16巻「馳驟の章」

第1章 天貴の星

遊撃隊の隊長として、梁山泊本隊の部隊編成表に名を連ねていることが示されている。

第2章 地雄の星

かつて王英の軍が敵の急襲を受けた際、自らの判断で騎馬隊を率いて救援に向かった武功が回想されている。

第3章 地壮の星

王英との子を身ごもったことで部隊指揮から外れ、予備隊として梁山泊に常駐することになった経緯が記されている。

第4章 地数の星

恩州の妓楼で浮気をしていた夫・王英を急襲し、剣を抜き放って凄まじい殺気で二人を威圧する。浮気相手であった白寿を馬車に乗せて梁山泊へ連れ帰り、彼女と共に子供を育てるという毅然とした道を選ぶ。

第5章 天牢の星

梁山泊の営舎で暮らしつつ、後進の育成のために模擬戦の指揮などを担当している。懐妊のため実戦や乗馬は宋江から禁じられているが、依然として軍の中での存在感を示している。

第6章 地陰の星

出産の時期が近づいたことで馬に乗るのを避け、梁山泊内の女たちの統括という役目を顧大嫂から正式に引き継いでいる。

第17巻「朱雀の章」

第3章 天巧の星

一児の母としての務めを果たしながらも、梁山泊内の練兵場で予備隊の調練を本格的に再開する。戦場への早期復帰を強く志しており、その厳しくも洗練された指導は他の将校たちからも高く評価される。盧俊義の死に際しては、残された者としての責任を重く受け止め、静かに弔う。

第5章 地狂の星

直接の登場はないが、夫である王英の激しい争闘の中での回想や心情として描かれる。王英は彼女の怒りを恐れつつも、自分たちの間に子供がいるという事実に深い愛着と不思議な感慨を抱く。彼女の存在が、王英の戦い続ける精神的な支えの一つとなっている。

第6章 地損の星

梁山泊で平穏な時を過ごしながらも、五万の全軍で迫りくる童貫軍との全面決戦に備える。子を育てる母としての強さを持ちながら、武人として二振りの剣を振るう修練を一日も欠かさない。梁山泊の民と家族を守るため、部隊の統率力をさらに高めていく。

第18巻「乾坤の章」

第2章 地獣の星

長い戦いの中で疲弊した軍の状況を危惧し、済州に預けた幼い子の身を案じつつも、愛馬・雪嶺とともに戦列への復帰を決意する。

第5章 地奴の星

北京大名府の占拠作戦では予備隊を率いて出動し、唐昇が裏切った後の城外の官軍を退散させる指揮を執る。

第7章 地角の星

決戦の緒戦において一千騎を率いて官軍の攪乱を試みるが、敵の罠に嵌まって完全に包囲され孤立する。林冲の決死の突撃によって救出されるが、自分を逃がすために踏み止まった林冲が壮絶な戦死を遂げたことに、激しい自責と深い悲しみを抱く。

第19巻「旌旗の章」

第2章 天威の星

遊撃隊の隊長として、歩兵戦に介入しようとする敵騎馬隊を巧みに抑え込む。

第5章 天捷の星

部隊再編により一千騎を率い、呼延灼や黄信らとともに官軍の波状攻撃を正面から支える。

第6章 天魁の星

撤退戦の最中、重傷を負った夫・王英の最期を看取る。王英が息を引き取った後は、呼延灼の撤退の合図に従い、兵たちを散らせて生き延びるための離脱を始める。