魯智深(ろちしん)

元禁軍将校出身の僧侶。巨漢の体躯から繰り出す棒術と拳法は破壊的な威力を誇る。豪放磊落な性格で酒と喧嘩を好むが、根は誰より人情に厚く、弱者への義侠心が行動の原動力となっている。

第1巻「曙光の章」

第1章 天罡の星

開封府の街中で王進とすれ違い、その鍛え抜かれた身のこなしで王進の目を引き付けた。

第2章 天孤の星

深夜に王進の庭へ侵入して禁軍改革の無意味さを説き、後に林冲とも密会した。腐敗した国を根底から変えるための同志を集めていることを明かした。

第4章 天雄の星

宋江と合流して林冲の窮地を知り、流刑の道中で林冲を救出した。宋江をリーダーと仰ぎ、梁山湖を拠点にする構想を共有して各地へ奔走した。

第5章 地暴の星

西へ向かう旅の途中で鮑旭を捕らえ、王進のもとへ預けた。その後、京兆府で晁蓋や武松と再会し、各地の同志を繋ぐ役割を担った。

第6章 天微の星

史家村を再訪して史進に王進の手紙を届け、彼が少華山の賊と関わりを持つきっかけを作った。また、道中で薬草売りの薛永と出会い、彼を仲間に加えた。

第2巻「替天の章」

第3章 天暗の星

北京大名府の盧俊義の屋敷に滞在し、そこで楊志と出会う。楊志に対し、腐敗した軍を捨て、自らが闘う意味を考えるよう厳しく説く。

第4章 天間の星

絶望していた武松を救い出し、王進のもとへ預ける。その後、晁蓋らと合流して渭州へ向かい、地下牢に二年間閉じ込められていた公孫勝を救出する作戦に尽力する。

第5章 地耗の星

林冲が馬の調教を行っている山中の牧を訪ね、彼を連れて鄆城へと向かう。道中、林冲と語り合いながら、彼が深く眠れるまで焚火を守り続ける。

第3巻「輪舞の章」

第1章 地稽の星

曹正の店を訪れ、二竜山の盗賊を討つべく楊志を説得して仲間に引き入れる。僧侶の姿を利用して油断を誘い、楊志と共に山寨へ乗り込んで賊徒を殲滅する。戦いの後は楊志に後を任せ、再び世直しのために旅立つ。

第5章 地魁の星

少華山の史進を訪ね、増長する彼を王進のもとへ連れて行って慢心を戒める。その後、子午山で立ち直った武松と再会し、遼や女真族と呼応する遠大な計画のために独り国境を越えて北方へ向かう。

第4巻「道蛇の章」

第3章 地孤の星

かつて宋江が書いた激文を自ら書き写し、各地の同志に広めるための冊子を作った功績が語られる。

第6巻「烈火の章」

第1章 地闊の星

還俗して魯達と名乗り、盧俊義らと共に秦明を梁山泊に誘い出すための策謀を練る。

第2章 地文の星

蕭譲に秦明の筆跡を真似た偽手紙を書かせ、自ら青州へと赴いて工作を開始する。

第4章 天猛の星

青州で秦明と対面して一晩語り合い、偽手紙を焼き捨てて自らの志と覚悟を示すことで彼の入山を導く。

第5章 地劣の星

梁山泊周辺で林冲と再会し、阮小二らが建造した大型船による軍馬輸送の試運転に立ち会う。

第7巻「烈火の章」

第4章 天勇の星

雄州の牢城に自ら不当な理由で入り込み、囚人たちを率いて腐敗した牢役人の職を解かせるなど、牢城内での世直しを実践する。関勝や郝思文と国家のあり方について語り合った後、保州で悪辣な肉屋の鄭敬を決闘の末に打ち殺して民を熱狂させる。金翠蓮を救い出し、自らは「花和尚・魯智深」としての名を広めるべく西へと旅を続ける。

第8巻「青龍の章」

第1章 天暴の星

梁山泊からの使いとして独竜岡の解珍・解宝父子のもとを訪れる。登州の孫立との約束を果たすために現れ、左腕がない姿ながら深い眼差しで解珍と対峙する。解珍が信頼に足る人物かを見極めるため、家の中で対話を求める。

第3章 天富の星

解珍と酒を酌み交わしながら、生肉料理を食して親交を深める。解珍の息子である解宝の成長や、猟師たちの組織力に感銘を受ける。李家荘の李応を調略する計画を立て、執事の杜興を通じて接触を図る。

第9巻「嵐翠の章」

第1章 天空の星

白勝を連れて開封府郊外を探索し、偶然出会った索超と呂方の実力を見極める。彼らが林冲に関わろうとしていることを察知し、付かず離れずの距離で見守り続ける。

第2章 地佐の星

林冲の命懸けの手術を見守りながら、かつて自分の腕を切り落として彼と一緒に食べた因縁を語る。入山を望む呂方らに、梁山泊の真の姿を説く。

第3章 地微の星

楊令を王進のもとへ預ける提案をし、自ら案内役となって子午山への旅に同行する。

第4章 地走の星

子午山で旧友の王進と再会し、酒を酌み交わしながら楊令や鮑旭らの将来について語り合う。

第10巻「濁流の章」

第3章 天祐の星

梁山泊の秘密通信網「飛脚屋」を介して各地を旅し同志を繋ぐ。孟州の十字坡で張青・孫二娘と再会し、帝都・開封府への潜入と徐寧調略の任務を命じる。

第11巻「天地の章」

第4章 天地の星

雄州の宿の二階に潜伏しており五台での任務を終えた樊瑞を酒と肉で迎える。関勝が守護する牢城から董平を救出するという困難な調略任務を樊瑞に依頼し、かつて自らがその牢城に入っていた経験を明かして大胆な策を持ちかける。

第12巻「天地の章」

第1章 地健の星

索超や郁保四の回想の中で、建設途上の流花寨で活動していた姿や、かつて王進の母を慕っていた過去が語られる。

第2章 地傑の星

雄州の宣賛の庵を訪れ、金翠蓮と穏やかな生活を送る宣賛の変容を喜ぶ。その後、東平府から送られてきた囚人・董平を、関勝の監視の目をかいくぐって救い出すという奇妙な賭けを成功させる。

第5章 地隠の星

北京大名府の戦いが終わった後、武松や李逵を連れて西方の威勝へと向かい、現地での不穏な動きを調査する。

第13巻「白虎の章」

第4章 地飛の星

済州の宋家村に現れて宋太公とひと晩語り合い、老人の孤独な心に寄り添った後に静かに姿を消した。その後は特定の拠点に留まらず、威勝の賊徒や南方の不穏な動きを監視しながら、飛脚屋を介して各地の同志へ指示を送り続けている。

第5章 地退の星

双頭山の危機に際し、自身の指示で燕青や孟康を現地へ派遣して軍馬の調達計画を推進させた。自身は女真族の動向を探るために再び北方の遼へと足を進め、広範な視野で梁山泊の未来を見据えた活動を続けている。

第14巻「爪牙の章」

第3章 地短の星

石梯山の小砦にて武松や李逵とともに「替天行道」の旗を掲げ、威勝の田虎一党を内部から瓦解させる計略を実行に移す。砦を訪れる入山希望者と面談して兵を選別し、宋という国の腐敗の構造について鄒淵に独自の持論を語る。

第5章 地強の星

遼州から迫る傭兵隊長・張清を、殺さずに生け捕りにするよう部下へ指示を出す。武松と李逵を威勝の攪乱任務へ送り出し、自身は石梯山に留まって防衛の指揮を執る。

第15巻「折戟の章」

第3章 地遂の星

威勝の戦線で石梯山の砦を守り、傭兵隊長の張清と対峙しながら、梁山泊本部へ楽天的な戦況報告を送る。

第4章 天損の星

致死軍を率いて威勝の城郭内に深く潜入し、田虎と盟友・鄔梨の仲を裂くための計略を冷徹に遂行する。瓊英と張清の縁を繋ぎつつ、田虎一党を処刑して威勝の反乱軍を解体し、有望な将兵を梁山泊へと導くための「汚い仕事」を自ら引き受ける。

第16巻「馳驟の章」

第6章 地陰の星

直接の登場はないが、代州の小さな村で静養している近況が武松たちの会話で語られる。聚義庁は彼を梁山泊へ戻し、調略の指揮を任せる構想を持つが、本人は楊令のいる子午山へ行きたがっていることが示唆される。

第17巻「朱雀の章」

第2章 地巧の星

不治の病に侵され、武松と李逵の担架に揺られて子午山の王進のもとへ辿り着く。自らの最期を悟りながら、楊令に対して梁山泊の好漢たちの志と歴史を語り継ぐ日々を送る。

第6章 地損の星

楊令に吹毛剣の研ぎを完成させた後、武人としての最後の落とし前をつける決意を固める。病に蝕まれる肉体に屈することを拒み、自らの手で腹を切り裂いて凄まじい「無念」を楊令の眼に焼き付けながら絶命する。