呉用(ごよう)
梁山泊の軍師。冷静な論理で状況を分析し、緻密な計略を立案する知恵袋。感情より合理性を優先するが梁山泊の仲間への信頼は厚く、その知略が多くの命を救ってきた。
第1巻「曙光の章」
第7章 地囚の星
東渓村の私塾教師として宋江の話し相手を務める傍ら、晁蓋の参謀として輸送隊襲撃の計画を立案した。論理的な口調で当時の官吏の腐敗を激しく批判した。その知略により、晁蓋の行動を支える頭脳としての役割を果たした。
第8章 地霊の星
偽造の印鑑師や書類作成の名人を仲間に引き入れる工作を進めた。塩の道の安全性を高めるための実務面で、その才覚を存分に発揮した。組織の運営を支える実務家としての側面を強調した。
第2巻「替天の章」
第2章 地幽の星
朱貴の妻の病を奇貨として、安道全を山寨に送り込むことで王倫を懐柔する計略を練る。
第5章 地耗の星
十万貫の生辰綱を奪うための「黄泥岡」での緻密な作戦を立案し、自らも旅人に扮して実行に加わる。
第8章 地魔の星
新体制となった梁山泊(梁山泊)の軍師として、施設の建設、名簿管理、物資調達など、組織運営のすべてを詳細に指揮する。
第3巻「輪舞の章」
第3章 天機の星
梁山泊の軍師として「文治省」を組織し、組織の序列化や行政機能の整備に奔走する。公孫勝と連携して青蓮寺の間者五百人を一掃する冷徹な策を立案する。その一方で、急速に巨大化する組織の運営に強い孤独と恐怖を感じており、深夜に晁蓋と酒を酌み交わして本音を吐露する。
第4巻「道蛇の章」
第3章 地孤の星
梁山泊の施政担当として組織運営の激務に奔走し、あまりの疲労から安道全の鍼治療を受ける。晁蓋に対し、青蓮寺の増員や魯智深の安否、宋江の動静など、国家規模で動く情勢を詳細に報告し対策を練る。
第5章 天殺の星
鄆城の解放作戦が青蓮寺の妨害で停滞している現状を分析し、物流の遮断による開封府の干上がらせなど、次なる壮大な戦略を構想する。
第6章 天速の星
消息不明の魯智深を救出するため、手がかりが掴め次第、公孫勝率いる致死軍を北へ出動させる準備を進める。
第6巻「烈火の章」
第2章 地文の星
秦明ら新たな同志を迎え、軍事的役割を割り振ると共に、塩の道を守るための特別部隊「飛竜軍」の編制を劉唐に託す。
第5章 地劣の星
青蓮寺の袁明に梁山泊の思考の中枢として暗殺標的に定められるが、鄆城の統治や物流網の整備など広範な施政に腕を振るい続ける。
第7巻「烈火の章」
第2章 地理の星
青蓮寺の聞煥章や李富から暗殺の標的として警戒され、彼を誘い出すための計略に旅芸人の馬桂が利用される。本人は梁山泊の施政に没頭しており、官軍の新たな動きを警戒しつつ戦略の練り直しを行う。
第3章 地周の星
通信網の回復や少華山の情勢について、宋江や戴宗と議論を重ねて対策を講じる。宋江が双頭山に滞在する間に、全同志の職掌を記した詳細な名簿を届けるなど、組織管理の徹底を図る。
第5章 地賊の星
梁山泊を一つの国家として機能させるための民生・物流改革を推進し、鄆城の市場建設にも意欲を見せる。祝家荘攻略の軍師として宋江を支える一方で、時遷に対し、裏切り者が判明した際の独断での処断を許可する。
第8巻「青龍の章」
第1章 天暴の星
梁山泊の軍師として、祝家荘に打ち込まれた官軍の楔を抜くための壮大な計略を練る。魯達や石勇、孫立といった多方面の人間を動かし、内部攪乱と外部攻撃の連携を緻密に構築する。戴宗の通信網を駆使して各戦線の情報を一手に掌握し、開戦の好機を窺う。
第2章 地異の星
二竜山に青州軍の離脱兵を受け入れる際、秦明らと協議してその配置やスパイの選別を指示する。三山を線で結んだ防衛体制を確立し、官軍の大軍を引きつける「負け戦」の作戦を秦明に託す。二竜山や双頭山の防備を固め、祝家荘攻撃軍が孤立しないよう戦略の全体図を描く。
第3章 天富の星
祝家荘戦の陣頭指揮を執り、宿元景の禁軍騎馬隊という強敵に対し、岩山への一時撤退という冷静な判断を下す。林冲や史進の部隊を絶妙なタイミングで合流させ、敵を野戦で撃破する鮮やかな作戦を完遂する。勝利後も驕ることなく、祝家荘本体への攻撃に向けた次なる布石を打ち続ける。
第4章 地悪の星
膠着する戦況と増え続ける犠牲に苦悩しながらも、誘いの攻撃を繰り返して敵を引きずり出す。家荘軍の扈三娘による側面攻撃を受け、新たな対応を迫られるが、これを逆手に取った出撃の誘発を狙う。侯健からの情報を受け、林冲の妻に関する不穏な噂を憂慮しつつも、軍師として大局を見守る。
第5章 地勇の星
李応の決起と解宝らの猪の放流を合図に総攻撃を命じ、ついに祝家荘を陥落させる。勝利の代償として焦挺ら多くの同志を失ったことに打ちのめされるが、宋江との対話を通じてその死を背負って生きる覚悟を新たにする。戦後は独竜岡の新たな管理体制を整え、梁山泊へと帰還する。
第9巻「嵐翠の章」
第1章 天空の星
祝家荘戦の総括を行い、官軍の侵攻を防ぐために流花寨という新たな砦を築く戦略的な再編案を提案する。
第2章 地佐の星
梁山泊全体の体制立て直しに奔走し、林冲の裁判では軍規の厳格な適用を主張して宋江を諌める。
第5章 地暗の星
禁軍の本格的な侵攻に対し、各山寨から兵を割いて迎撃態勢を整えるための的確な軍令を下す。新年には聚義庁で宋江や晁蓋と酒を酌み交わし、梁山泊の将来の戦略について語り合う。
第10巻「濁流の章」
第2章 地軸の星
柴進の入山に合わせて兵站を再編し、孫新の観察眼を見抜いて帝都・開封府への潜入任務を委ねる。李応を前線指揮官へ転換させる人事も行う。
第3章 天祐の星
開戦の「機」を理屈では読み取れずに苦悩する。一方で敗北を想定した退避所を事前に確保するなど、慎重な実務で組織を支える。
第4章 地英の星
寿張の決戦で乱戦の中を屍体に紛れて難を逃れ、退避所で散り散りになった兵を再編する。公孫勝とともに呼延灼不在の情報を分析し反撃の機を晁蓋に報告。
第5章 地刑の星
李応・張順への指揮委任を提案し雪辱戦を成功に導く。張青を厳しく叱責するなど、組織の士気を高める厳格な姿勢を見せる。呼延灼の入山人事で本隊総指揮を任命。
第11巻「天地の章」
第1章 地然の星
鄆城の市場化による経済戦略を推進しつつ、晁蓋と宋江の対立を収めるために知恵を絞る。
第4章 天地の星
梁山泊が宋の正規軍に正面から勝てないという冷徹な計算結果を宋江に突きつけ、開封府急襲という大胆な秘策を提案する。曾頭市の不穏な情報を宋江に伝え、組織全体のバランスを保とうと腐心する。
第12巻「天地の章」
第1章 地健の星
晁蓋の死を公表し、梁山泊に集まった将校たちの前で自ら喪章を外して新体制への移行を主導した。宋江の沈黙の間、実質的な軍の統制を担い、全軍に出動態勢を敷かせた。
第3章 地正の星
北京大名府の異変を知らせに来た燕青から情報を聞き取り、官軍の動きを分析した。盧俊義救出と塩の道の痕跡消去を目的とした、過去最大規模の作戦立案に着手した。
第4章 地蔵の星
北京大名府占領後、城内での機密抹消作業を指揮した。関勝の軍が梁山泊対岸に現れた際も冷静に対応し、柴進らと共に山寨の防衛と撤退の機を見定めた。
第13巻「白虎の章」
第1章 天剣の星
流花寨を視察し、圧倒的な物量を誇る宋軍艦隊への対策を花栄らと練り、大量に備蓄した木材の重要性を再確認する。
第3章 地僻の星
流花寨の防衛に執着するあまり双頭山への奇襲への対応が遅れ、李俊からその判断を厳しく追求された。
第4章 地飛の星
宋江から、実戦における軍師の役割を宣賛に譲り、大所高所から全体を見る仕事に専念するよう命じられる。
第14巻「爪牙の章」
第1章 地急の星
正月も休まず部屋に籠り、二十万を超える官軍の大攻勢を迎え撃つための防衛策を一人で練り続ける。
第3章 地短の星
石梯山に「替天行道」の旗を掲げて田虎の軍を攪乱する計略を立案し、鄒淵の派遣を決定する。済州の闇の妓楼については、青蓮寺の資金源を監視しつつ逆手に取る冷静な判断を下し、戦場以外の暗闘にも眼を配る。
第15巻「折戟の章」
第1章 天英の星
二十数万の官軍に包囲される絶望的な戦況に、軍師としてかつてない不安に陥り、盧俊義からその「優しさ」を弱点だと指摘される。しかし最終的には冷静さを取り戻し、各地の戦況を緻密に分析して指揮官たちへの指示を出し続ける。
第3章 地遂の星
各戦線の甚大な消耗を把握し、梁山泊再建の時間を稼ぐために、宋との一時的な講和という大胆な外交戦を開始する。高俅への情報工作や、戴宗、侯健を通じた諜報網を再編し、朝廷内の政争を利用した駆け引きに没頭する。
第4章 天損の星
王英と扈三娘の結婚を、暗い戦いの中に差した「人間らしい営み」として温かく見守る。一方で、高俅の筆跡や印影を偽造させ、講和交渉を梁山泊に有利な形で進めるための実務的な調略を指揮する。
第16巻「馳驟の章」
第1章 天貴の星
柴進と梁山泊の巨大化に伴う武装強化について議論し、遼や女真の地から海路で武器を運ぶ大胆な策を提案する。
第2章 地雄の星
女真の地を拠点に宋の国境を侵犯させ、官軍の兵力を分散させるという遠大な調略を蔡兄弟に命じる。
第3章 地壮の星
死に際した柴進から、梁山泊全体の物資管理と複雑な兵站のすべてを託され、彼の遺志を継ぐことを決意する。
第4章 地数の星
孫立を呼び出し、北京大名府で派手に振る舞う彼の妻の存在が諜報活動の致命的な妨げになっていると冷徹に警告する。
第5章 天牢の星
童貫軍に敗れた史進の査問を主導するが、敵の戦術の詳細を問いただそうとする姿勢を林冲らから批判される。
第17巻「朱雀の章」
第1章 天立の星
双頭山の敗戦処理に追われる中、宣賛や盧俊義とともに、盧俊義の死を偽装して宋側を欺く講和工作を練り上げる。
第2章 地巧の星
軍事工作に必要な蔡京の私印を偽造するため、金大堅に特殊な材質の印を彫るよう命じる。
第3章 天巧の星
聚義庁での軍議で、童貫軍の脅威に対する防衛戦略を議論し、陸上兵力の増強を優先する方針を打ち出す。
第6章 地損の星
阿骨打の決起時期を読み違え、女真族の長老に送った銀が無駄になったことに軍師としての責任を感じる。童貫が建造させた巨大な新型艦の情報を宋江に報告し、さらなる激戦を予見する。
第18巻「乾坤の章」
第1章 天敗の星
童貫が送り込んだ巨大船「海鰍船」の脅威を予測できず苛立ちを見せるが、張順の偵察によりその詳細を把握し、梁山湖へ誘い込む戦略を立てる。
第5章 地奴の星
二竜山の陥落を織り込み済みで北京大名府を占拠する計略を練り、兵糧の移送を偽装するなどして童貫軍の主力を移動させることに成功する。
第6章 地平の星
童貫との膠着状態を打破すべく、唐昇を用いた北京大名府占拠策を主導する。軍議では騎馬隊や歩兵の運用を各将校と議論し、宋江とともに聚義庁の戦死者の名札を見つめて仲間の生きた証と今後の決意を語り合う。
第7章 地角の星
鄆城に本営を置いて全軍の再編に着手し、楊令を林冲の代役に据えるなどの人事を進めるが、現場の指揮官との感覚の差に自問自答を繰り返す。童貫の動きを読み、流花寨を「攻めの象徴」として維持しつつ水軍や騎馬隊を巧みに配置し、替天行道の志を絶やさぬよう遠く揚州や女真の地にまで及ぶ長期的な伏線を静かに張る。
第19巻「旌旗の章」
第1章 地満の星
梁山泊の存亡を懸け、水軍と致死軍を用いた開封府への奇襲と宋主暗殺という乾坤一擲の策を練る。
第2章 天威の星
開封府奇襲の成功を軍議で報告する一方、戦場に出ようとする宋江の身を案じて激しく反対する。
第3章 地醜の星
本営への奇襲を受けた際、軍事的な勝利よりも宋江の安全を優先させ、楊令に護衛を命じる。兵站の構築に専念するため、宋江に促されて最前線から梁山泊へと戻る。
第5章 天捷の星
自らの軍略が童貫に及ばないことに苦悩し、将軍たちとの話し合いの中で自らの限界を吐露する。
第6章 天魁の星
落城の間際、燕青ら生き残るべき者たちに宋江の行方について嘘を吐き、彼らを梁山泊から脱出させる。自らは聚義庁に残り、築き上げた要塞が燃え落ちる中で運命を共にする。