童貫(どうかん)

禁軍元帥。宦官でありながら軍事の才能を持ち、精強な直属部隊を率いる。権力の頂点に立つ武人として一定の軍事的能力を持つが、その力は体制の維持と自身の権勢のために使われる。

第1巻「曙光の章」

第1章 天罡の星

禁軍元帥であり、宦官ながら軍事の才に長け、精強な直属部隊を率いている。王進からはその軍人としての力量を一定の敬意を持って評価されていた。

第2巻「替天の章」

第3章 天暗の星

禁軍元帥として自ら鍛え上げた精鋭を率い、演習で高俅の軍を圧倒して帝の称賛を浴びた。軍の質にこだわっており、腐敗した禁軍全体を鍛え直すよう蔡京に強く進言した。

第3巻「輪舞の章」

第3章 天機の星

禁軍の元帥であり、四万の精鋭部隊を率いる強大な軍事力の象徴として言及される。梁山泊に対する大規模な軍事行動が必要になった際、最後に頼るべき戦力として袁明らに想定されている。

第6章 地好の星

禁軍の中では数少ない実戦能力を持つ将軍として評価される一方で、賊徒相手の戦を厭う性質も分析される。地方軍が敗北を重ね、梁山泊が勢力を拡大した際の最終的な防波堤として、青蓮寺によってその動向が注視されている。

第4巻「道蛇の章」

第3章 地孤の星

禁軍の元帥であり、四万の精鋭部隊を率いる。地方軍の強化には批判的であり、自らの軍事力を温存しつつ、叛乱の動向を注視している。

第5章 天殺の星

蔡京の要請に応じ、禁軍の中から精強な兵を選抜して五千の討伐軍を自ら編制する。賊徒を討つのは禁軍の仕事ではないと矜持を持ちつつも、実戦に向けた独自の調練を開始する。

第6章 天速の星

彼の軍は機動力に優れた全軍騎馬の部隊である可能性を、梁山泊の呉用らから警戒される。酆美や畢勝といった優れた副官を抱え、禁軍の中で唯一実戦能力を持つ勢力として描かれる。

第5巻「玄武の章」

第2章 地闘の星

禁軍元帥として、袁明の構想に基づき精鋭五千の選抜と調練に深く関与する。宿元景の後ろ盾としての立場を保ちつつ、梁山泊を単なる賊徒と見なして誇り高い軍人の姿勢を崩さない。

第6巻「烈火の章」

第2章 地文の星

宿元景の騎馬隊の編制に関わり、自ら調練の指揮を執って官軍の軍事力強化に邁進する姿が言及される。

第4章 天猛の星

去勢による喪失感を戦への情熱で埋める孤高の元帥として描かれ、袁明からはその非凡な能力を認められつつも苦手意識を持たれている。帝への忠誠心が極めて高く、禁軍の私物化を目論む青蓮寺の介入を容易には許さない。

第5章 地劣の星

蔡京が連れてきた新参の参謀・聞煥章を禁軍に受け入れるよう命じられ、帝の意思としてそれを肯んじる。

第7巻「烈火の章」

第1章 地伏の星

梁山泊が単なる賊徒ではなく強力な叛乱軍であることを理解しつつあり、禁軍元帥としての誇りを保ちつつ事態を静観する。

第3章 地周の星

晒し刑にされた将軍たちの助命を一度は求めるが、陛下が事態を憂慮していると説かれ、青蓮寺による地方軍の独断的な再編を黙認する。官軍が一度腐った事実は認めつつも、禁軍は開封府を守護し、地方軍が各地を安定させるべきだという軍人としての正論を貫く。

第5章 地賊の星

祝家荘作戦に従事する若き将軍・唐昇に対し、「勝てないかもしれないが、負けることは許されない」という厳しい言葉をかけて送り出す。

第8巻「青龍の章」

第3章 天富の星

禁軍の元帥として、梁山泊が自分と闘うに足るほど大きな勢力になるのを静かに待っている。

第4章 地悪の星

李富の狂気じみた説得を受け、宿元景の騎馬隊出動を一度は承諾する。宿元景の敗戦後、蔡京や袁明に対し、禁軍は地方軍が失敗するまではこれ以上出動させないという冷淡な方針を貫く。

第9巻「嵐翠の章」

第1章 天空の星

禁軍元帥として名前が挙がり、代州の将軍である呼延灼を高く評価していることが李富によって語られる。官軍の最高実力者として、青蓮寺にとっても容易には動かせない不気味な存在である。

第3章 地微の星

聞煥章からの軍事報告を受け、禁軍の使命は帝と開封府を守ることにあるとして、安易な地方出動を牽制する。軍事情報の分析に長け、梁山泊の動向を冷静に注視している。

第4章 地走の星

梁山泊軍の本隊を引きつけるために部下の楊戩を出動させ、岩のように堅固な陣形で晁蓋らを翻弄する。彼の率いる五万の精強な禁軍は、梁山泊にとって最終的な決戦相手と見なされている。

第5章 地暗の星

袁明や蔡京と対面し、地方軍の無策を皮肉りつつも、呼延灼を起用して梁山泊に一度の鮮やかな勝利を収めるよう提案する。武人としての誇りを持ち、互角の勝負で勝つ方法を常に考えている。

第12巻「天地の章」

第1章 地健の星

独自の美学を持ち、梁山泊という存在がまだ「少女」のようであるとして、自らの精鋭を動かす時機を慎重に測っている様子が語られる。

第2章 地傑の星

表向きは関勝の独り身を案じているとされるが、その裏で官軍内の実力ある将軍たちの動向を注視している。

第4章 地蔵の星

趙安らの分析において、自らの好みで戦を選び、圧倒的な力を隠し持つ狡猾で傑出した軍人として評される。

第13巻「白虎の章」

第2章 地祐の星

禁軍の総帥として梁山泊を掃討の対象と定め、全軍に遠征の準備を加速させるよう厳命した。

第4章 地飛の星

禁軍府にて聞煥章と対談し、自身の宦官という出自や、軍人としての誇り、そして生を実感できるほどの死闘への渇望を独白した。梁山泊が自分と相まみえるほど強大になるのを待ちわびる一方で、真の禁軍は自分の麾下五万のみであるという冷徹な自負を見せた。

第14巻「爪牙の章」

第4章 天究の星

禁軍元帥として、梁山泊への大規模攻勢に際し、子飼いの趙安や宿元景の軍を出動させる決定を下す。

第6章 地猛の星

開封府の軍営から戦局を冷静に分析し、梁山泊軍を「惚れる」ほどの強敵と認めつつ、自らの独断で禁軍の予備費を戦費に充てて趙安らを支援する。

第15巻「折戟の章」

第3章 地遂の星

北京大名府占拠の報を受けた帝から停戦の勅命が下ると、これに逆らわず全軍に撤退を指示する。

第5章 地察の星

開封府に戻り、戦後復興と禁軍の再編を静かに進める。許貫忠を軍師として迎え、周信ら若い将校に過酷な調練を課すことで、数年後の梁山泊再攻に向けた牙を研ぎ続ける。

第16巻「馳驟の章」

第1章 天貴の星

開封府近郊で一万五千の精鋭を率い、野営を伴う過酷な断食調練を繰り返す。梁山泊を討つための「生涯に刻むべき戦」を渇望し、李富らに地方軍の整備を命じる。

第5章 天牢の星

視察の道中、遭遇した史進と徐寧の梁山泊遊撃隊に対し、圧倒的な戦術と練度で完勝する。史進の軍の粘り強さを評価しつつ、梁山泊との本格的な決戦に向けた確かな手応えを感じる。

第6章 地陰の星

袁明の死を惜しみつつも、開戦に向けた準備を着実に進めている様子が語られる。

第17巻「朱雀の章」

第1章 天立の星

自ら禁軍を率いて出撃し、双頭山を電撃的に攻略して総隊長の董平を討ち取る。これまでの地方軍とは一線を画す緻密かつ大胆な用兵で、梁山泊に衝撃を与える。

第3章 天巧の星

五丈河での決戦で梁山泊本隊を追い詰めるが、張清の放った飛礫(つぶて)を肩に受けて骨を砕く重傷を負う。負傷しながらも冷静に全軍を退かせ、開封府へ戻って次なる戦いへの英気を養う。

第6章 地損の星

負傷から復帰し、五万の全軍を率いて再び梁山泊へと進軍を開始する。秘密裏に建造させた巨大な新型艦を戦線に投入し、圧倒的な軍事力で梁山泊の完全壊滅を狙う。

第18巻「乾坤の章」

第1章 天敗の星

巨大船団「海鰍船」を五丈河に送り込み、流花寨と梁山泊に強力な水上圧力をかける。自らも陸軍を率いて出撃し、梁山泊本隊を殲滅するための鉄槌を下す機会を伺う。

第3章 地速の星

呼延灼の連環馬によって緒戦で一万の兵を失うが、その夜自ら二千騎を率いて梁山泊の陣を断ち割る夜襲を敢行する。敗戦を自らの自尊心の問題として受け止め、翌朝には即座に十里前進してさらなる対峙を続ける不敵さを見せる。

第5章 地奴の星

北京大名府陥落を受けて開封府へ戻り、朝廷内の講和派を牽制しつつ梁山泊根絶やしのための戦備を整える。梁山泊の補給能力の高さを認め、李富と聞煥章に従来の二倍に及ぶ莫大な軍費調達を冷徹に要求する。

第6章 地平の星

北京大名府郊外に営舎を構え、決戦に向けた軍の再編と騎馬隊の増強に余念がない。失態を犯した董万に極刑を下し軍の規律を維持する一方、宦官という出自の屈辱を糧に実力で元帥へ上り詰めた自らの半生を振り返る。

第7章 地角の星

ついに梁山泊への総攻撃を開始し、酆美の先鋒二万と趙安の遊撃隊を前進させる。自らの内にある死や敗北への恐怖を深く自覚しつつ、それを律することで軍人としての格を保とうとし、徹底した地質調査に基づく完璧な勝利を追求する。

第19巻「旌旗の章」

第2章 天威の星

開封府奇襲による朝廷の動揺と皇帝からの早期決着の意志を受け、政治的な決断を迫られる。亡き林冲の騎馬隊を継いだ楊令が師・王進のもとで育ったことを知り、奇妙な高揚感を覚えながら、対峙による圧力から一転してついに全軍へ開戦を命じる。全面会戦では自ら三万の精鋭に守られた本陣で指揮を執り、楊令の若き才覚を認めつつも盤石の陣容で梁山泊の猛攻を凌ぐ。総力戦では期待の若手・李明に二万の軍を預け、自らも三千の精鋭を率いて楊令の騎馬隊を翻弄し、亡き林冲の面影を楽しむような余裕と若い才を叩き潰す冷徹さを併せ持つ。背後からの奇襲による揺さぶりを終え、梁山泊の防衛拠点である流花寨を五日で陥落させるべく全軍に発令し、自らの手でこの戦いを終結させることに執念を燃やす。全軍を動かした総攻撃では、圧倒的な統率力で禁軍を操り、史進や楊令の猛攻を受けても動じない胆力を見せる。宋江の首を獲る寸前まで追い詰めるが李逵らの人外の武勇に阻まれる。段鵬挙らの戦死を受けて軍の再編に着手し、次なる決戦の地形を畢勝に検討させる。二日の休戦を経て正攻法での全軍前進を再開し、策を弄さず「愚直な前進」を選ぶことで兵力の差を確実に勝利へ繋げようとする。軍学の定石を覆す夜戦を敢行し、梁山泊軍を精神的にも肉体的にも追い詰める。丘陵に三千の騎馬を布陣させて楊令を待ち受け、その若き才能を認めつつも圧倒的な戦術で叩き潰すことに歓喜を覚える。あえて流花寨へ退かず自尊心を懸けて楊令との野戦を継続し、自らを囮にする緻密な包囲網で楊令を追い詰める。強敵に対して奇妙な敬意や親近感を抱く複雑な内面を見せる。