史文恭(しぶんきょう)

青蓮寺でかつて暗殺者として活動し現在は引退して静かに暮らしていた老人。いかなる集団にも怪しまれずに紛れ込む卓越した潜伏能力を持つ。李富からの要請を受け梁山泊幹部の暗殺を狙う任務に再び就く。

第11巻「天地の章」

第3章 地楽の星

元盗賊の老人に扮して平原に潜伏。解錠技術を披露することで劉唐の内応グループに信頼を勝ち取る。平原陥落後、晁蓋と直接面会し「国を盗もうとしている」と豪語するその眼光に強烈な個性を感じる。劉唐と楽和に酒席で査定され、晁蓋の従者まとめ役として梁山泊に迎え入れられる。

第12巻「天地の章」

第1章 地健の星

晁蓋の暗殺に成功した後、開封府の青蓮寺で李富に復命し、その功績の象徴として指を失った右手を晒した。隠棲生活から引きずり出されたことへの不満はなく、次は宋江や呉用、林冲といった梁山泊の主要人物を狙いたいという歪んだ情熱を語った。

第5章 地隠の星

小肥りの商人へと見事な変装を遂げ、北京大名府にいる李富のもとへ再び姿を現した。欠けた小指という特徴を消すために右腕の肘から先を自ら切り落とすという執念を見せ、梁山泊支配下の街に潜入して闇の金貸しや物資供給で内部から組織を腐らせる計略を提案した。

第13巻「白虎の章」

第1章 天剣の星

かつて晁蓋を毒矢で暗殺した刺客として、聞煥章と呂牛の会話の中でその名が挙げられる。

第4章 地飛の星

宋家村で宋太公を守る武松らが、再び現れる可能性のある強力な刺客として警戒し続けている存在として語られた。

第14巻「爪牙の章」

第1章 地急の星

晁蓋を暗殺した仇として、劉唐率いる飛竜軍から執拗な追跡を受けているが、その行方は杳として知れない。

第3章 地短の星

済州に潜伏していることが李富や聞煥章の会話から明らかになる。肘から先がないという異様な身体的特徴を持ちながら、単独での暗殺を自らの生き甲斐とする底知れぬ刺客として、青蓮寺の闇に潜んでいる。

第16巻「馳驟の章」

第3章 地壮の星

済州にて片腕を失った布商人「段亭」を名乗り、顔料と蝋で年齢を偽装して完全に成り済ましている。兵員増加に伴う食糧需要を見越して肉の卸業を開始し、梁山泊の兵站網への接触を試みる。地元の統治者である裴宣を観察し、その公明正大さに「殺すに値する男」としての好感を抱きながら着実に信頼を勝ち得ていく。裴宣や柴進といった梁山泊の重鎮を標的に定め、彼らを「好きになる」ことで殺意を研ぎ澄ませるという独特の美学を持ち、孫二娘に近づいてその夫である裴宣の暗殺機会を狙う。柴進には長期間にわたり「夜盗樹」の毒を盛り続け、裴宣は郊外の牛の囲いに誘い出して毒の針で仕留め、任務を完遂する。すべてを果たした後、「段亭」の変装を捨てて済州を去ろうとするが、十八日間にわたり出口を張り続けていた劉唐にその正体を見抜かれる。かつての宿敵との静かな対話の末、劉唐の刃を受けてその生涯を閉じる。