袁明(えんめい)

官軍側の謀略家。老獪な現実主義者として体制の維持のために動き、複雑な政治状況の中で巧みに立ち回る。感情ではなく損得で判断する冷徹な目を持つ。

第2巻「替天の章」

第3章 天暗の星

青蓮寺の総帥として部下四人を招集し、全国の軍事・民政に関する詳細な報告を受けた。蔡京に対して禁軍の再編や地方将軍の招致を献策し、国家の安定を裏から操る策士としての手腕を発揮した。王安石の理想を継承しつつ、現実的な権力維持のために青蓮寺を運営した。

第6章 天異の星

生辰綱強奪事件を単なる盗難ではなく、組織的な叛乱の予兆と捉えた。各地の盗賊が連動し始めている「闇の流れ」を察知し、蔡京に直訴して組織の大幅な増員を取りつけた。宋江らが作成した冊子『替天行道』を入手し、体制を揺るがす思想の広まりを危惧した。

第3巻「輪舞の章」

第3章 天機の星

青蓮寺の総帥として、梁山泊が掲げる「替天行道」の旗を国家を揺るがす重大な脅威と見なす。会議を招集し、梁山泊周辺に送り込んだ間者五百人が殲滅された事態を分析し、敵を島から引きずり出すための戦略を練る。王安石の理想を胸に秘めつつ、国家の均衡を保つために裏側から非情な決断を下し続ける孤独な指導者として描写される。

第6章 地好の星

旅から戻った李富の報告を受け、地方軍の腐敗と各地で連鎖する叛乱の兆しを深く憂慮する。自らの老いを自覚しながらも、国が内側から崩壊することを防ぐため、禁軍の再編や地方将軍の選別など次なる一手を模索する。

第4巻「道蛇の章」

第1章 天退の星

鄆城での宋江の事件に国家規模の叛乱の予兆を感じ取り、李富を現地に派遣して徹底的な調査を命じる。

第3章 地孤の星

鄆城解放という梁山泊の戦略に対し、正面衝突を避けて敵の試みを失敗に終わらせる静かな戦略を採る。李富に対し、間者の馬桂を真に使いこなすためには彼女の心を掴まねばならないと、支配者としての非情な助言を与える。

第5章 天殺の星

英雄的人気を持つ楊志を重大な脅威と見なし、李富に手段を選ばず抹殺することを厳命する。国家の均衡を保つために蔡京をも牽制し、裏側から非情な采配を振るい続ける孤独な指導者として描写される。

第5巻「玄武の章」

第1章 地進の星

青蓮寺の総帥として、江州で宋江を捕囲した情勢を冷静に分析し、黄文炳による指揮を注視する。各地で『替天行道』の旗を掲げる叛徒の動きを警戒し、不気味な勢力を削ぐため、楊志の暗殺を李富に命じる。従者の洪清を相手に、腐敗と老いを深めてゆく国の現状を憂い、病んだ国を治療するためにさらなる苛烈な決断を下そうとする。

第2章 地闘の星

江州での敗戦から梁山泊の真の実力を認め、官軍の質を根底から立て直す軍制改革を決断する。宰相の蔡京と極秘に会談し、宿元景に精鋭騎馬隊を与えて自由行動権を授けるという、対梁山泊の切り札となる布陣を承認させる。李富に対しては任務の完遂を求め、情報の報告を打ち切って現場にすべてを委ねる冷徹な姿勢を見せる。

第6巻「烈火の章」

第3章 地狗の星

青蓮寺の総帥として梁山泊の資金源である闇塩の道の解明を急ぎ、清風山がその要衝であることを見抜く。軍の腐敗を憂いつつも、梁山泊という「人の心に移る魔もの」を叩き潰すために蔡京と連携を強める。

第4章 天猛の星

清風山での大敗を受けて軍の限界を痛感し、蔡京が隠し持っていた「竜」である聞煥章を参謀として受け入れる苦渋の決断を下す。同時に、組織の拡大と聞煥章の制御を洪清に託すなど、権力維持のための冷徹な計算を働かせる。

第5章 地劣の星

聞煥章が主導する軍の抜本的改革と、宋江・呉用を標的とした大規模な同時多発作戦を承認する。自らが古い時代の人間になりつつあることを自覚しながらも、青蓮寺の全力を挙げて梁山泊との総力戦に挑む。

第7巻「烈火の章」

第1章 地伏の星

青蓮寺の総帥として会議を統括し、軍費調達のための兵の労役投入や通信遮断作戦の進捗を確認する。聞煥章が提案した「死体さえも利用する」という冷徹な計略に対し、李富の能力を再研磨するための手段として許可を与える。

第3章 地周の星

失敗を犯した将軍たちに対し、蔡太師の名をもって死罪と晒し刑という厳しい罰を与えることを最終決定する。

第5章 地賊の星

祝家荘戦における三荘の結束を維持するため、聞煥章の提案を受け入れて王和を李家荘の監視役として派遣することを了承する。

第8巻「青龍の章」

第3章 天富の星

祝家荘を囮にした梁山泊分断策の有効性を認めつつも、李富に対して情報のすべてを掌握していないと慢心を戒める。馬桂の死で狂気的な復讐心に目覚めた李富を、梁山泊殲滅のための強力な駒として再び起用する。

第4章 地悪の星

蔡京や童貫を説得し、青蓮寺が地方軍を自由に動かして梁山泊を討伐する全権を取りつける。死者を出しても決して屈しない梁山泊の精強さに驚愕しつつ、暗殺を含めた冷徹な殲滅策を李富と共に練る。

第9巻「嵐翠の章」

第2章 地佐の星

青蓮寺の居室で李富と対面し、長年の観察から闇塩の道の拠点が北京大名府と滄州にあると見抜く。相手を警戒させないよう少人数での調査を命じ、滄州への慎重な工作を指示する。

第3章 地微の星

提出された報告書を通じて、書いた人間の精神的な弱点を掴むことで配下を操る独特の統率術を見せる。目を閉じていることが多いが、驚異的な記憶力で情報を処理する不気味な指導者として描写される。

第5章 地暗の星

蔡京を仲介役として童貫元帥と密談し、梁山泊に反撃の痛撃を与えるために呼延灼の起用を認める。組織の拡大に伴う末端の硬直化を懸念しつつも、幹部たちの新たな謀略を静観する。

第10巻「濁流の章」

第5章 地刑の星

呼延灼が梁山泊に合流したという情報を受け、武力による殲滅ではなく講和による梁山泊の取り込みという高度な政治的解決の可能性を模索し始める。老いてなお鋭い洞察力で国家の裏側から宋の秩序維持を図る。

第11巻「天地の章」

第2章 地全の星

青蓮寺の奥室にて情報を分析し闇塩の道の要衝が北京大名府にあるという結論を受け入れる。蔡京を降ろして新たな統治体制を築くという野望を抱き続けながら老境にあっても冷徹な殺気を孕んだ情熱を見せる。

第4章 天地の星

趙安との対話を通じて青蓮寺の底知れない闇を体現する存在として語られる。

第12巻「天地の章」

第1章 地健の星

深夜の青蓮寺にて李富を呼び出し、晁蓋死すの報を受けて今後の梁山泊がどう動くかを分析する。宋江も暗殺すれば梁山泊は分裂すると説きつつ、国の秩序の拠点としての「帝」の必要性を説き、李富の国家観を試すような謎めいた言動を見せる。

第3章 地正の星

開封府の青蓮寺の自室に籠り、沈黙の中で何事かを考え続けている様子が、北京大名府の聞煥章らの会話を通じて語られる。

第5章 地隠の星

致死軍の公孫勝や樊瑞による暗殺の標的となっていることが高廉により報告される。しかし、聞煥章からは「自分で自分を守るべき存在」と突き放され、青蓮寺内部での彼に対する心理的な距離感の変化が露わになる。

第13巻「白虎の章」

第3章 地僻の星

青蓮寺の奥室から戦場全体を俯瞰し、梁山泊の糧道を断つことを目的とした大規模な戦略の絵図を描いた。銀の産出に頼る官軍と、塩の道を持つ梁山泊の資力の差を冷徹に分析し、李富らに長期的な戦いのあり方を提示した。

第4章 地飛の星

開封府を訪れた聞煥章と対談し、宮廷内の反対勢力を排除するための高官暗殺計画を承認した。宋という国の滅びを誰よりも強く予感しながらも、その終わりを遅らせるために非情な決断を下し続ける。

第14巻「爪牙の章」

第2章 天平の星

青蓮寺の総帥として開封府の奥深くに鎮座し、外部との接触を断ちながら蔡京の権力基盤を支えるための暗闘を指揮する。

第4章 天究の星

蔡京邸を訪れた帰路、樊瑞率いる致死軍の伏撃を受けるが、随伴していた洪清の超人的な体術に守られて一傷も負わずに危機を脱する。

第6章 地猛の星

かつて抱いた変革の理想を失い、巨大な国家装置と化した青蓮寺を冷徹に動かす存在として、童貫によってその変質と底知れぬ力を評される。

第15巻「折戟の章」

第3章 地遂の星

直接の登場はないが、以前に蔡京の私邸へ向かう途中で致死軍の樊瑞に襲撃された際、洪清の超人的な働きで一命を取り留めたことが侯健の回想で語られる。

第5章 地察の星

青蓮寺の総帥として、敗戦による軍費の枯渇や高俅の講和工作といった難局に直面する。李富や聞煥章に対し、敗北を深刻に考えすぎず全体を俯瞰するよう促す一方で、その存在は童貫からも一目置かれる不気味な凄味を放ち続ける。

第16巻「馳驟の章」

第5章 天牢の星

飛竜軍が開徳府の高廉軍を引きつける陽動の隙を突いて、公孫勝率いる致死軍による直接襲撃を受ける。護衛が手薄になった青蓮寺の居室にて、自身の命運が尽きようとしていることを静かに悟りながら、侵入した公孫勝の剣に胸を貫かれて絶命する。

第6章 地陰の星

死後に遺言が発見され、李富を後継者に指名していたことが明らかになる。さらに帝の「耳目」である李師師を李富に託すという深謀遠慮が判明する。

第17巻「朱雀の章」

第4章 地捷の星

青蓮寺の前総帥として、聞煥章の回想の中に登場する。孤独な頂点にいた彼のありようは、後を継いだ李富の姿と重ね合わされ、組織の変質を象徴する存在として語られる。

第5章 地狂の星

李富が蔡京に対し、新法党による理想の政事が袁明の願いであったと述懐する。故人でありながら、その志は今なお青蓮寺の行動原理の根底に深く刻まれている。

第19巻「旌旗の章」

第2章 天威の星

故人でありながら、李師師に託していた一通の手紙を通じてその存在が改めて浮かび上がる。手紙には、かつて李富が愛した間諜・馬桂の死の真相が綴られており、青蓮寺を率いる者は友を持ってはならないという過酷な教えが後継者へ遺されていた。